学校臨床心理専攻の学生のための本

学校臨床心理専攻の教員から

岸からのお薦めの本

正気の社会E.フロム社会思想社(1958)

多数=正常、少数=異常ということはなく、たとえ多数でも「常態の病理」としての社会が有ることを指摘し、人間の状況から生ずる諸欲求という視点から健康な人間の姿を描き出している。

自由からの逃走E.フロム東京創元社(1965)

自由を求めながらも自由であることの責任にむきあえず、自由から逃げ出してしまう人間の心性を社会的性格という概念を使いながらナチズムを分析する中で描き出している。

愛するということE.フロム紀伊國屋書店(1991)

愛とは「技術」であり、前もって身についているものではない。人間の最大の危機を「孤立」ととらえ、その救いは人と人との全体のつながりである「愛」にあるとしている。ただしその「愛する能力」を得るためには訓練が必要としている。

思春期の心理学岸良範ポプラ社(1991)

思春期は自身のリアリティにはじめてむきあうときである。エピソードのひとつひとつに自分自身が現れている。そんな時にこそ心の中を旅してみる必要がある。中・高生にむけたものであるが、成人期の中にある人にとっても意味のある構成になっている。

ケアへの出発岸良範医学書院(1994)

対人援助は、同時に自分自身を顕わにするものである。援助の中で自分自身がみえてくるものである。

コンプレックス河合隼雄岩波書店(1971)

人は意識によってのみ生きているのではく、深い無意識によって否応なく行動してしまう存在である。コンプレックスという概念を通して、人間存在の姿を浮きぼりにしている。

谷川俊太郎質問箱谷川俊太郎東京糸井重里事務所(2007)

人間存在のそのままの姿を大切にしながら、よくある「正直な悩み」に詩人の豊かな感性でそれ以上でもそれ以下でもなく真っ正直に応えている。

ユング自伝(1)(2)C.G.ユングみすず書房(1972)

自分自身の生涯を自己の探求に向け、深い無意識の世界から自己実現の道を探り続けてきたプロセスが深く重く誠実に語られている。

フロイト-その自我の軌跡小此木啓吾日本放送出版協会(1973)

精神分析の創始者、フロイトの自我の軌跡を描くことが同時に作者である小此木啓吾の自我の軌跡を語ることになっており、人がどのように自身を形成していくのかが語られている。

カウンセリングの実際問題河合隼雄誠信書房(1970)

カウンセリングの本質が平易な表現でわかりやすく述べられており、初心者からベテランまでこの本にもどることで自分の今の位置を知ることが出来る。

精神分析を語る西園昌久岩崎学術出版社(1985)

フロイトの理論を十分にかみくだきながらその本質を伝えている。自分自身のリアリティに向き合える本である。

家族関係を考える河合隼雄講談社(1980)

家族の何気ない関係の中に潜む病理を、文化の土台から解き明かしている。

太陽の塔森見登美彦新潮社(2006)

青年期の限りなく広がる自己愛の世界をシニカルに直視し、同時に自己愛の世界に浸りながらも、他者との世界に次第に啓かれていく過程がリアルにせつなく描かれている。  

新訂:方法としての面接土居健郎医学書院(1992)

対人援助の基本である面接の方法について、長年の精神科臨床の経験から深く、シンプルに述べられている。

「甘え」の構造:増補普及版土居健郎弘文堂(2007)

甘え、依存を人間の根本的な姿として捉えながらも、その様に世界共通の心性がことさら強調されすぎる日本の文化的土壌が丁寧に分析されている。

自己愛人間小此木啓吾筑摩書房(1992)

現代の人間行動の基本原理を自己愛として捉え、その問題を日常的なものから病理に至ものまで、例を取り上げながら平易に解説している。

守屋からのお薦めの本

子どもの宇宙河合隼雄岩波書店(1987)

少年期の心山中康裕中央公論出版社(1978)

ゲド戦記(1)~(6)A.K.ル=グウィン岩波書店(2006)

金丸からのお薦めの本

私はそうは思わない佐野洋子筑摩書房(1996)

人間の視点はいろいろである。常識といわれる多数意見にとらわれることなく、柔軟に物事をかんがえるための素晴らしいモデルを示してくれる書。

凍りついた瞳さなやななえ・椎名篤子集英社(1996)

児童虐待問題をあつかった漫画。子どもの問題に関心のある人もない人も、現代社会に生きる以上は避けて通ることの出来ないテーマ。特に将来「親」になりたい人は読んでおいて欲しい。

家族の中の迷子たち鈴木雅子・椎名篤子集英社(2001)

児童精神科医が経験した難しい症例を元に描かれた漫画。子どもの心の問題がどのように病理として表れてくるのか、自然に理解できる。親子関係についてもたくさんの示唆を与えてくれる書。

赤ちゃんが来た石坂啓朝日新聞社(1996)

近代子育てエッセイの代表作。続編の「コドモ界の人」もお薦め。子どもにべったりではない,物書きとしてのクールな母親の視点が、かえって子どもへの深い愛情を感じさせてくれる。

毎日かあさん(1)~(4)西原理恵子毎日新聞社(2007)

勉強ができる子・できない子とはなんだろう。その子を育てる良い母、悪い母とは何だろう。夫婦関係とは。離婚とは。様々な家族の問題をテーマにしながらも爽やかに爆笑できる漫画。

ああ息子西原理恵子毎日新聞社(2005)

母親と息子は女と男。わかり合えない異性の深い関係をなんだなとため息をつきつつも、読んだ後は男の子はこれでいいんだなとすがすがしく諦められる。

正保からのお薦めの本

今しばらくお待ちください。

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