社会選修の学生のための本

イスタンブールを愛した人々松谷浩尚中央公論社(中公新書)(1998)

アジアとヨーロッパを隔てるボスポラス海峡に位置し,有史以来幾多の歴史の舞台となってきたイスタンブール。近代において,この地に様々な関わりを持った人々,日本人を含む12人の行動と記録を通して,19世紀から20世紀初めにかけての激動するトルコ情勢をエピソード的につづっている。乃木希典と芦田均など意外に知られざる人物の歴史にも光が当てられる。

コーヒーが廻り世界史が廻る臼井隆一郎中央公論社(中公新書)(1992)

イスラームの宗教観念・モラルを背景にして誕生したかの地のコーヒー文化は,やがてヨーロッパに渡り,近代市民社会の生活と文化に多大な影響を及ぼした。更にヨーロッパ諸国の植民地へと伝わり,現代文明の重要な要素となっていった。本書の標題はまさにそれを結晶化したもの。

ローマ人への20の質問塩野七生文藝春秋社(文春新書)(2000)

大著『ローマ人の物語』を最近完結させた著者が,その一大事業継続中に執筆した。ローマ史全般にわたって大きなテーマごとに,塩野氏のこれまでの成果を踏まえて答えている。

江戸は夢か水谷三公筑摩書房(ちくま学芸文庫)(2004)

近年の江戸時代見直しの流れの中で,身分制や封建秩序の下に統治されていたとされるこの時代が,「庶民的自由」と「窮屈な武士」の関係を中核とする新しい視点で考察されている。比較史的視野も取り入れられており興味深い。

和魂洋才の系譜 上・下平川祐弘平凡社(平凡社ライブラリー)(2006)

「西洋の衝撃」に対して明治日本はどのように応答したか。異文明との対比・葛藤の中で近代日本はいかに自己を認識し,民族性を自覚し方向付けようとしたのか。内と外から明治日本を読み解く重厚な著作。

遺伝子で探る人類史ジョン・リレスフォード(沼尻由起子訳)講談社(ブルーバックス)(2005)

最近の考古学や古人類学・古生物学の研究の爆発的進展の基盤は,DNA(遺伝子)解析である。本書は人類がいつ,どこで生まれたのかを解明しようとする。DNAによれば,全ての現生人類は20万年前の一人の女性を祖先とするらしい。ネアンデルタール人は現生人類と共存していたらしい。とにかく興味深く読める。

宇宙100の大誤解ニール・カミンズ(加藤賢一・吉本敬子訳)講談社(ブルーバックス)(2005)

人類の歴史も大きなテーマだが,宇宙の成立はこれまた大きなテーマである。ビッグ・バン以来の宇宙の変化,星雲・星・惑星等の来し方,その大渦の中に地球が,生物が,人類が誕生するのであるから。本書は常識における誤解を取り上げて,その誤りを解説し,正解を追求する。

歴史学の名著30山内昌之筑摩書房(ちくま新書)(2007)

古今東西の歴史書は,等しく人間の過去の営みを叙述し,解明してきた。本書は古代から現在まで,日本・中国・西洋・イスラム世界において著された歴史の名著30点を解説。この方面の読書のヒントを与えてくれる。

なぜヒトの脳だけが大きくなったのか濱田 穣講談社(ブルーバックス)(2007)

有能すぎる器官である人の脳。なぜ他の動物は脳を進化させず,ヒトだけが進化させたのか。それを解明する鍵の一つが,他の動物に比べて特徴的に高いヒトの体脂肪率だそうだ。脂肪と脳の関係という全く新しい視点からのアプローチが本書である。

人類がたどったてきた道海部陽介日本放送出版協会(NHKブックス)(2005)

我々の直接の祖先であるホモ・サピエンスは,アフリカにおいて生まれ,アフリカから世界へと拡散した。最新の研究成果にもとづき,約5万年前には知識を蓄積し,文化を創造的に発展させていく能力はホモ・サピエンスに確立していた可能性が高いそうである。すなわち5万年前の祖先は,我々現代人と基本的に同様の知的潜在能力を持っていたことを明らかにする。現代の個人は,5万年分の知識の多くを一生のうちに学ぶことが出来るわけである。

夢顔さんによろしく、(上・下)西木正明文春文庫(2002)

シベリア抑留の末、命を落とすことになった近衛文麿の子息、文隆の生涯をたどったドキュメンタリー。 歴史的事実としての真実性にはいささか疑問もあるが、戦争の悲哀さを感じることができる。

純愛時代大平 健岩波書店(岩波新書)(2000)

現代の若者たちの傷つきやすい心を精神科医である著者が様々な症例から浮かび上がらせたもの。

情報消費型社会と知の構造中西新太郎旬報社(1998)

学校の背景としての社会に焦点をあて、現代の若者と社会との関係を“情報消費型社会”という視点から浮かび上がらせたもの。教育を論じる際には意外に盲点になっている部分である。文章は難解ではあるが、読みごたえがある。

法思想史講義 下 絶対王政期から現代まで笹倉秀夫東京大学出版会(2007年)

2007年に書き上げられた、上下二巻からなる「法思想史」の本格的教科書。下巻では社会契約論、近代自然法、功利主義、社会主義及び価値相対主義がトピックとして、しかも歴史の流れの中でのその位置付けが明確にされている。広く社会科学及び人文科学の知識を深めたいと考える学生にとって一度は手にとってもらいたい教科書の一つである。

哲学者と法学徒との対話ホッブズ(田中浩,重森臣広,新井明訳)岩波書店(岩波文庫)(2002年)

本書は『リヴァイアサン』以外にあまりないホッブズの著作の完訳版であり、しかもロックとの議論を想定して書かれた対話編なので非常に読み易い。高校時代に学んだ政治哲学者の著作を、大学生時代に一冊は読んでもらいたいという意味で本書をお勧めします。

憲法の基礎理論と解釈尾吹善人信山社(2007年)

尾吹義人先生は茨城大学の前身の一つである旧制水戸高等学校の出身者、すなわち諸君の先輩である。洒落たエッセーを書きながら、一方においては法理論と実定憲法解釈の融合を目指しつつ手堅い手法で学術論文を書き上げていった故尾吹先生の論文集はいまなお色褪せない。

神と国家と人間と長尾龍一弘文堂(1991年)

本書において、われわれはSF小説やSF映画で見られる世界像が既に法思想家や法哲学家によって議論されていることを知るだろう。例えば、第一章「夢と現」においてマトリックスの世界が、第二章「可能性世界」においてドラえもん等で見られるタイムパラドックスの問題が既に何百年も前に行われていることに驚かされる。本書はSF好きの学生にお勧めの一冊である。

憲法とは何か長谷部恭男岩波書店(岩波新書)(2006年)

ドン・キホーテとハムレットの共通点は何か。それは両者共に価値観の多元化した世界で何が真実で、何が正義かについて思い悩まざるを得ない近代的世界、及びその基底となる近代立憲主義というそれまでになかった世界で生きていかなければならない主体となったからである。改憲論が公然と語られるようになってきた現在、学生時代に一読すべき一冊であると考える。

社会科教育学研究ハンドブック全国社会科教育学会明治図書(2001)

過去半世紀の社会科教育学研究の成果と方法を整理。各分野におけるこれまでの研究の展開の方向や成果をつかむことができる。

日本社会科成立史研究片上宗二風間書房(1993)

日本の社会科誕生の成立の経緯について生後、行政、理論的に分析した研究した大著。

大学生と大学院生のためのレポート・論文の書き方吉田健正ナカニシヤ出版(2004)

社会科学系分野でレポートから始まって卒論、修論をどう書くか。大学に入って書くレポートの書き方入門。

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