教育学部の全ての学生のための本

人間を問う

人間不平等起源論ルソー岩波書店(岩波文庫)(1992)

ルソーの生きた時代の社会や文化を批判した本。現代社会を考える際にも示唆を与えてくれる。自然状態を理想ととらえ、歴史の進展を頽落ととらえる。

胎児の世界:人類の生命記憶三木成夫中央公論社(中公新書)(1983)

一人の人間の誕生の背景には悠久の時の中に綿々と受け継がれてきた生命の流れがある。胎児が見せる生命を記憶の姿。機会があれば映画『もんしぇん』(2005)も見てもらいたい。主人公はるが冒頭のバスのシーンで読んでいる本は『胎児の世界』である。

生きる意味上田紀行岩波書店(2005)

私たちの「生きる意味」の豊かさを取り戻すことを目的に書かれている。

本来の「生きる意味」を阻害している原因から始まり、自分自身の人生を考える機会を与えてくれる本である。

現代語訳・論語宮崎市定岩波書店(2000)

初心者にもよくわかる『論語』入門書。「よい人間」とは何かを考えさせられる。また、加地伸行の『儒教とは何か』(中央公論社・中公新書, 1990)をあわせて読むと、“儒教”についての新たなイメージが得られる。

そんなばかな竹内久美子文芸春秋(1994)

動物行動学の成果を、卑近な例を用いてわかりやすく紹介。

星の王子さまサン・テクジュベリ岩波書店(2000)

子どもから読める本だが、私たちが何を大切にしたらいいのかを考えさせてくれる本。作者のサン・デクジュペリは死ぬまで子どもらしさを失わなかった人。翻訳は沢山あるが、2000年に出版された『星の王子さま—オリジナル版』(岩波書店)がオリジナル版の挿絵がそのまま掲載されていて、装丁もしっかりしていてよい。加藤恭子氏の『「星の王子さま」をフランス語で読む』(筑摩書房・ちくま学芸文庫)を読むと、今度はフランス語で『星の王子さま』を読みたくなるので、未習外国語でフランス語を選択している人には、こちらもお薦め!

〈子供〉の誕生P.アリエスみすず書房(1980)

子どもという存在は歴史的なものであって,近代という時代に発見されたものであることを知るための,我々の視野転換のための必読書。

ロビンソン・クルーソーD.デフォー岩波書店(岩波文庫)(1979)

「近代における典型的な人間像」を理解するための古典。

生を問う・暮らしを問う

日本国憲法(例えば『日本国憲法』(童話屋, 2001)など。)(1946)

今だから読んでみて欲しい。世界に誇るべき憲法であり、人類の到達した一つの地位の表現を味わって欲しい。「理想主義」であることは決して「非現実」として否定するべきことの根拠とはならない。「理想」を放棄したならば、「人間」という存在はその存在意義すら失うのではないだろうか。『世界 憲法論文選1946-2005』も一緒に。

あたらしい憲法のはなしあたらしい憲法のはなし童話屋(2001)

現在の憲法について、文部省が中学1年生の社会科用教科書として出版し、使用したものである。この小冊子は、現在においても憲法についての最高レベルの内容を有するものである。

『世界』憲法論文選1946-2005井上ひさし、樋口陽一(編)岩波書店(2006)

岩波書店を代表する雑誌『世界』。その誌上で戦後、憲法はどのように論じられてきたのか。

道ありき三浦綾子新潮社(1980)

作家三浦綾子の自伝。教員生活,自殺未遂,闘病生活と、苦悩の末にキリスト者となっていく過程に心動かされる。

人間の権利T.ベイン岩波書店(岩波文庫)(1977)

人間の権利を初めて明確に主張したものである。生存権と教育・学習の内的関連を明確にし、人間を学ぶ以前の無知の状態に戻すことはできないとしている。

イギリスにおける労働者階級の状態F.エンゲルス岩波書店(岩波文庫)(1990)

「近代という時代」における民衆(労働者階級)・子ども・女性・家庭そして教育に正面から向かい合おうとする時の古典。

モモミヒャエル・エンデ岩波書店(1986)

現代社会への強い批判の込められた本。本を読んで自分の生き方をもう一度問い直してみることもできるのではないかと思う。聴くことの大切さについても考えさせられる。子安美智子『「モモ」を読む』(学陽書房女性文庫, 1996)をあわせて読むと、より一層理解が深まるだろう。

市民の反抗H.D.ソロー岩波書店(岩波文庫)(1977)

〈市民〉としていかに生きるかということを論じ、市民の反抗、抵抗、不服従の意志が歴史を前進させるための基盤となりうることを主張している。

関東大震災吉村昭文芸春秋(2004)

吉村文学の代表作。目の前に惨状が迫ってくるような迫力ある描写は、吉村作品ならでは。一読の価値あり。

怒りの方法辛淑玉岩波書店(2004)

「バカ」に対峙する姿勢と方法を学ぶことができる。コミュニケーション論としても面白い。

努力論幸田露伴岩波書店(岩波文庫)(2001)

いわゆる努力論ではなく、困学(こんがく−苦しみ、悩みながら学ぶこと)の必要性を述べている。露伴の学習理論ともいうべき著である。

死は共鳴する:脳死・臓器移植の深みへ小松美彦勁草書房(1996)

脳死・臓器移植に異を唱える人は少なくなったが、その問題性がなくなったわけでは決してない。ひとりの死を否定する視点から書かれた反脳死・臓器移植の書。

プロフェッショナル原論波頭亮ソフトバンククリエイティブ(2007)

「プロフェッショナル」のあるべき姿を考えるための本である。「プロフェッショナル」として生きる意味と方法を提示している。「教職」を捉え直すために、教師志望の人に読んでもらいたい。

現代社会を考える

貧困の克服:アジア発展の鍵は何かA.セン集英堂新書(2002)

貧困は経済的な側面のみならず精神的・人間的な貧困さもある。両者の貧困さは克服しうるものであるという主張を実証的に展開している。

メディア・コントロール:正義なき民主主義N.チョムスキー集英社(2003)

メディアによっていかなる情報が、どのように取り上げられて流布されるのかをチョムスキーは鋭く論じている。〈見る・聞く・知る〉ことの意味はキチンと考えてみる必要がある。

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神マックス・ウェーバー岩波書店(1993)

「近代」とは何か。信仰と勤労の関係性を通じて追求した,社会科学の入門書。近代教育を語る上で欠かせない。

知識とは何か

なぜ勉強するのか鈴木光司ソフトバンククリエイティブ(2006)

学校で、家庭で、子どもたちに「何故勉強しなければいけないのか?」と質問された時の答えを考える機会となる本である。この本の中の主張を吟味して、自分自身の大学生活での「学ぶ」意味を再考してほしい。「主体的な学習とは?」

大学の授業宇佐美寛東信堂(1999)

これを読まなければ大学生とはいえない必読の書(大学の教員も読まなければならない)。

思考と言語ヴィゴツキー新読書社(2001)

ヴィゴツキーはロシアの発達心理学者。その研究は心理学のみではなく、教育学にも大きな影響を与えている。

学問の進歩F.ベーコン岩波書店(岩波文庫)(1978)

〈学問は人格に移る〉ということの論証であるとも言えよう。学問そのものの進歩が人間の人格形成そのものと深く関連を有するとしている。

磁力と重力の発見(1)〜(3)山本義隆みすず書房(2004)

直感的、経験的な認識のレベルから、論理的な思考への転換を人々がいかになしとげて来たかの論証をしている。実験と思考の統一。

大陸と海洋の起源ヴェーゲナー岩波書店(岩波文庫)(1981)

個々の事実が総合される時、海と大地が動き出す。科学としての「大陸移動説」誕生のスリル。

教育を考える

学校と社会デューイ岩波書店(岩波文庫)(1979)

デューイは現代の日本の教育思想や教育実践に大きな影響を与えた哲学者。学校や教育を考えるのに様々な示唆を与えてくれる。

教育六法解説教育六法編集委員会(編)三省堂()

教育関係の基本的な法律集であり、これはぜひ備えておくべきものである。

子ども・学校・社会藤田英典東京大学出版会(1991)

社会の変化を構造的にとらえ、それが子どもの生活世界や青年期の課題にどのように影響し、学校・家族・地域の教育環境がどのような特質をもつかについて述べられている本。

岩波講座現代の教育0巻 教育への告発佐伯胖他(編)岩波書店(1998)

学校という場所とその問題、学ぶということについて、教育学者や実践者だけでなく多様な執筆者が、語りかける本。

岩波講座現代の教育7巻 ゆらぐ家族と地域佐伯胖他(編)岩波書店(1998)

家族、子育て、地域社会のあり方とその変容について論じられており、今日の子どもたちが育つ家族と地域の課題について考えることができる。

子どもと学校河合隼雄岩波書店(1992)

深刻化する教育問題の根にあるものに目を向け、大人・子ども、教える・教わるなどの教育の基本的な関係のあり方を問い直している書。

素直な戦士たち城山三郎新潮社(1980)

子育てについて考えさせられる一冊。経済小説で著名な城山作品の中では異色の書。

日本人のしつけは衰退したか広田照幸講談社現代新書(1999)

「家庭の教育力の低下」と言われるが、そのことを問い直している。私たちが現代の教育の問題を考え、語る際の姿勢を考えさせてくれる本。

大衆教育社会のゆくえ:学歴主義と平等神話の戦後史刈谷剛彦中央公論社(中公新書)(1995)

金と学歴の関係を分析する。

現代語訳・淡窓詩話廣瀬淡窓(向野康江訳)葦書房(2001)

『淡窓詩話』は、廣瀬淡窓(1782-1856、咸宜園創始者)が歴代の漢詩について解釈・批評し、自己の漢詩教育の極意を述べたもの。独特の漢詩解釈や作詩法など芸術教育論として高い内容をもつ。その現代語訳を試みたのが本書。門人達に漢詩を学ばせていた理由がよくわかる。淡窓の性格がよく現れており、弟子達との対話すなわち学生達の生の声が聞こえ、淡窓が育成しようとした理想的人間像が顕著である。

教育論アラン白水社(1997)

教育には被教育者の意欲が必要であるが、教育に必要な意欲の考察として読める。 

考えるための技術

発想法川喜田二郎中央公論社(中公新書)(1967)

KJ法はここから始まった。アイディアを整理する基礎技法。

アイデアのつくり方ジェームス・W・ヤングTBSブリタニカ(1988)

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」

超整理法:情報検索と発想の新システム野口悠紀雄中央公論新社(中公新書)(1993)

部屋が書類で溢れてしまう前に。

ザ・マインドマップ:脳の力を強化する思考技術トニー・ブザン, バリー・ブザンダイヤモンド社(2005)

あまたある発想法の中でも最も知名度の高いもののひとつ「マインドマップ」の原点。思考は放射状に広がる。

日本はなぜ敗れるのか山本七平角川書店(2004)

日本人の思考の非合理な点、戦略の無さを説いている。

勝つための論文の書き方鹿島茂文藝春秋(2003)

他分野の思考法を知ることが、創造的になることを説いている。

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